育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日から始まります。また、2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている技能実習生は、制度開始と同時に育成就労へ自動的に切り替わるのではなく、原則として従来の技能実習を継続できます。
この記事では、育成就労制度はいつから始まるのか、施行前にできる手続きや、現在技能実習生を受け入れている場合の経過措置について、事実ベースで整理します。
※本記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」や出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」などの公式情報に基づく一般的な解説です。個別のスケジュール・手続きについては、外国人技能実習機構(制度施行後は外国人育成就労機構)または専門家にご確認ください。
育成就労制度はいつから始まるのか
育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日に施行され、この日から育成就労外国人の受け入れが始まります。
育成就労制度の創設を盛り込んだ改正法「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」は、令和6年(2024年)6月21日に公布されました。施行日は、一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日と定められています。
つまり、法律の公布から実際に育成就労制度が始まるまでには、約3年の準備期間が設けられていることになります。
スケジュール早見表
育成就労制度のこれまでの経緯と今後のスケジュールを時系列で整理すると、次のとおりです。
| 時期できごと | |
|---|---|
| 令和6年(2024年)6月21日 | 育成就労制度の創設を盛り込んだ改正法が公布される |
| 令和8年(2026年)2月20日 | 「育成就労制度運用要領」が公表される |
| 令和8年(2026年)4月6日 | 育成就労制度運用要領の一部改正 |
| 令和8年(2026年)4月15日 | 監理支援機関の許可に関する施行日前申請の受付開始 |
| 令和8年(2026年)8月5日 | 育成就労制度運用要領が再度改正される |
| 令和8年(2026年)9月1日 | 育成就労計画の認定に関する施行日前申請の受付開始 |
| 令和9年(2027年)4月1日 | 育成就労制度が施行され、育成就労外国人の受け入れが始まる |
監理支援機関の許可申請は2026年4月15日、育成就労計画の認定申請は同年9月1日から先行して受け付けられています。運用要領も2026年2月の公表後、4月・8月と改正されています。
育成就労制度そのものが始まるのは2027年4月1日ですが、受け入れを予定している企業や監理支援機関には、それより前から準備が必要ということです。
制度開始前から進められる「施行日前申請」
育成就労制度では、施行日の令和9年(2027年)4月1日を待たずに、一部の申請を先行して行うことができます。
特に、制度開始直後から育成就労外国人を受け入れたい場合は、施行日前申請の時期を把握しておくことが重要です。
育成就労計画の認定申請
育成就労実施者になろうとする企業などは、施行日前から「育成就労計画」の認定申請を行うことができます。
育成就労計画の認定に関する施行日前申請は、令和8年(2026年)9月1日から受け付けられています。
運用要領では、審査に要する時間などを考慮して、原則として育成就労開始予定日の7か月前から5か月前までに申請することとされています。
たとえば、制度施行日である令和9年(2027年)4月1日から育成就労外国人の受け入れを開始したい場合は、令和8年9月~11月頃が申請時期の目安となります。
実際の申請では必要書類や手続きも確認したうえで、早めに準備を進めておくとよいでしょう。
監理支援機関の許可申請
監理型育成就労を支援する監理支援機関の許可についても、施行日前から申請できます。
監理支援機関の許可に関する施行日前申請は、令和8年(2026年)4月15日から受付が始まっています。施行日前申請の受付期間は、令和9年(2027年)3月31日までと案内されています。
外国人技能実習機構は、監理支援事業を開始する6か月以上前までに申請するよう案内しており、制度施行後の早い時期から事業を開始したい場合は、余裕を持った準備が必要です。
技能実習法上の監理団体による準備行為
施行日前の段階では、現在の技能実習法上の監理団体が、育成就労制度の開始に向けた準備行為として、育成就労に関する雇用関係の成立のあっせんを行うことも認められています。
そのため、2027年4月1日になるまで何もできないわけではありません。
現在、技能実習生の受け入れや監理を行っている企業・団体は、施行日前申請を含め、新制度への移行準備を順次進めていくことになります。
施行日をまたぐ「経過措置」のポイント
育成就労制度が令和9年(2027年)4月1日に始まっても、現在の技能実習生が一斉に育成就労へ切り替わるわけではありません。
施行日時点ですでに来日している技能実習生などについては、原則として従来の技能実習を続けられる経過措置が設けられています。
現在技能実習生を受け入れている企業にとっては、ここが特に重要なポイントです。
技能実習1号・2号から次の段階へ移行できる?
施行日時点で技能実習1号を行っている技能実習生は、施行後も技能実習2号へ移行できます。
技能実習計画の認定を受けたうえで、従来の制度に基づいて2号へ進むことが可能です。
また、令和9年(2027年)4月1日時点で技能実習2号を行っている人のうち、その時点で技能実習2号の活動を1年以上行っている人は、技能実習3号への移行も可能です。
一方、施行日時点で技能実習2号の活動期間が1年未満の場合は、この経過措置による3号への移行はできません。
そのため、現在受け入れている技能実習生が施行日時点で何号に該当し、どの程度の期間活動しているのかを個別に確認しておく必要があります。
既存の技能実習は従来の制度で継続できる
令和9年(2027年)4月1日時点ですでに来日している技能実習生は、原則として認定された技能実習計画に基づいて技能実習を継続できます。
改正法の経過措置では、施行日前に技能実習計画の認定を受け、施行日時点で現に行われている技能実習について「なお従前の例による」とされています。
つまり、2027年4月1日になったからといって、現在の技能実習生の在留資格や受け入れ制度がその日に自動的に育成就労へ変更されるわけではありません。
従来の技能実習制度のルールに基づいて、その技能実習を続けることができます。
2027年6月30日までに始まる技能実習にも経過措置がある
施行日時点でまだ技能実習を始めていない場合でも、一定の条件を満たせば従来の技能実習制度を利用できます。
具体的には、令和9年(2027年)3月31日までに技能実習計画の認定申請が行われ、令和9年6月30日までに技能実習を開始する場合は、原則として従来の制度に基づいて技能実習を行うことができます。
そのため、育成就労制度が4月1日に始まった瞬間、技能実習制度による新たな受け入れがすべて終了するわけではありません。
ただし、外国人技能実習機構は、1号技能実習計画の認定申請について令和9年(2027年)2月までに行うよう案内しています。
旧制度で受け入れる予定がある場合は、法令上の期限だけを見るのではなく、実際の審査期間を踏まえて早めに申請することが重要です。
その他の経過措置
育成就労制度への移行に伴い、技能実習の継続以外にもさまざまな経過措置が設けられています。
主なものとして、次のようなものがあります。
- 過去の処分歴に関する経過措置
技能実習制度で受けた認定取消しなどについて、新制度になったからといって扱いがリセットされるわけではなく、育成就労計画の認定や監理支援機関の許可に関する欠格事由の判断へ引き継がれる場合があります。 - 過去に技能実習を行っていた人に関する経過措置
過去に技能実習を行っていた外国人が一定の条件のもとで育成就労を行う場合、従前の技能実習期間が育成就労の期間として扱われる仕組みがあります。 - 養成講習に関する経過措置
育成就労制度では監理支援責任者や外部監査人などに養成講習の受講が求められますが、施行前に技能実習制度上の養成講習を受講した人についても経過措置が設けられています。 - 日本語講習に関する経過措置
日本語講習は認定日本語教育機関によるものが基本ですが、施行後当分の間は、一定の要件を満たす登録日本語教員による講習も認められています。
経過措置は対象者や条件によって扱いが異なるため、自社の技能実習生がどの措置に該当するかは個別に整理しておく必要があります。
よくある質問
育成就労制度の施行日は2027年4月1日ですが、施行日前申請や技能実習制度の経過措置もあわせて確認することが重要です。
Q. 育成就労制度はいつから施行されますか?
A. 育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日から施行されます。
実際に育成就労外国人を受け入れられるのも、原則としてこの日からです。
Q. 施行日より前に手続きを始めることはできますか?
A. できます。
育成就労計画の認定申請は令和8年(2026年)9月1日から、監理支援機関の許可申請は同年4月15日から、それぞれ施行日前申請として受け付けられています。
Q. 今すでに技能実習生を受け入れていますが、施行日を迎えたらどうなりますか?
A. 2027年4月1日時点ですでに来日している技能実習生は、原則として従来の技能実習を継続できます。
育成就労制度が始まったからといって、自動的に育成就労へ変更されるわけではありません。
また、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請が行われ、2027年6月30日までに技能実習を開始する場合にも、原則として従来の制度を利用できます。
Q. 施行日時点で技能実習1号・2号を行っている場合、2号・3号への移行はできますか?
A. 条件を満たせば移行できます。
2027年4月1日時点で技能実習1号を行っている人は、認定を受けたうえで技能実習2号へ移行できます。
また、同日時点で技能実習2号として活動しており、技能実習2号の活動を1年以上行っている人は、技能実習3号への移行も可能です。
Q. 育成就労制度の施行に向けて、受け入れ企業は何を確認すればよいですか?
A. 現在受け入れている技能実習生の状況と、今後どちらの制度で受け入れるのかを早めに整理しておくことが重要です。
特に確認したいのは、現在の技能実習生が2027年4月1日時点で何号に該当するのか、2号から3号への移行条件を満たすのか、新規受け入れを技能実習制度と育成就労制度のどちらで進めるのかという点です。
育成就労制度で制度開始直後から受け入れる場合は、育成就労計画の認定に関する施行日前申請も必要になります。
まとめ
育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日から始まります。実際に育成就労外国人を受け入れられるのも、この日からです。
ただし、新制度への切り替えは2027年4月1日に一斉に行われるわけではありません。
2027年4月1日時点ですでに来日している技能実習生は、原則として従来の技能実習を継続できます。また、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請が行われ、同年6月30日までに技能実習を開始する場合にも経過措置があります。
一方、新しい育成就労制度での受け入れに向けては、監理支援機関の許可申請が2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請が2026年9月1日から先行して始まっています。
すでに技能実習生を受け入れている企業は、現在の実習生がどの経過措置に該当するのかを確認するとともに、新規受け入れを技能実習制度と育成就労制度のどちらで進めるのか、早めに整理しておくとよいでしょう。
出典
出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」
外国人技能実習機構「育成就労制度について」
外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」
外国人技能実習機構「監理支援機関許可施行日前申請」
免責事項
本記事は、上記の公式情報に基づく一般的な解説であり、特定の企業・個人のケースに対する法的助言ではありません。実際の申請や経過措置の適用については、最新の運用要領・公式情報を確認し、必要に応じて外国人技能実習機構(制度施行後は外国人育成就労機構)または行政書士等の専門家にご確認ください。
